大谷という概念
- gen kushizaki

- 10月19日
- 読了時間: 6分
更新日:6 日前
野球って見ますか?
僕はサッカーをやっていたのもあって、スポーツはサッカーばかりで野球はほぼ見てきませんでした
なので応援しているチームもありませんし、関西人であるにも関わらず一昨年の阪神が優勝する際に生まれて初めて甲子園に行ったくらいでして、それですらチケットをもらったので行ったという感じでした
それはサッカーでも変わらず、見ると言ってもワールドカップや欧州リーグくらいの物で、Jリーグは特に見ませんし、欧州リーグと言ってもかじり付いて見ているサッカーオタクでもなく、試合結果や現在イケてる選手を確認している程度の、いわゆる薄めのファンといった感じなのかもしれません
基本的にはオリンピックやワールドカップなどのナショナルチームを見る方が楽しいのですが、その流れもあって一昨年のWBCで日本が劇的な優勝をした試合も見ましたし、そこで「大谷」という存在も知りました
WBC以降はテレビやネットを見てても日々大谷の情報が流れてくるので、昨年の50-50やワールドチャンピオンもリアルタイムでは確認しつつ、すごいなあと思いはしても正直「へえ〜」くらいでした
とはいえ、こんだけ大谷大谷と毎日言われたら果たしてどういう物なのか気になり始めまして、今年からMLB(というかドジャース)を見始めたのですが、けっして翌日のスポーツニュースで結果だけを見るのではなく、早起きしてリアルタイムでちゃんと試合を見るというのをスポーツで初めてしてみました
やっぱ1年を通して流れで見ていないとわからない事って結構ありまして、作戦や選手の状態から、運や波といった「一見不確定に見えて実は案外不確定で無い要素」の存在など、野球というスポーツのことがすごく立体的に見えてきましたし、野球って結局ほとんどピッチャーがやってるんだなということもわかりました
中でも一番驚いたのは、9月の末レギュラーシーズンの最終節でワイルドカード枠、いわゆる各地区ごとの2位とか3位がポストシーズンに行けるかの瀬戸際なんですが、最後の最後まで全くわからない接戦で、最終日の別試合の結果が出るまでわからないくらいもつれにもつれてる事でして、要はなんだかんだ言ってもMLBってすごくバランスが均衡してるんだなと感心しました
いや「戦力」というのをデータで見るとピンからキリまでちゃんとあるんですが、確率の収束っていうんですかね、最後はちゃんと0.5ゲーム差のギリギリで争ってるんですよ
開幕当初は連戦連勝で「もうここが優勝ちゃう?」と言われてたチームが突然失速したり、その逆も然り。
野球ファン全部が最後まで固唾を飲んでハラハラできるのはゲームとして素晴らしいと思いましたし、この街を挙げて応援する熱狂振りもなんとなくわかるような気がしました
さてそんな中、今朝のニュースやXでも流れていたように、昨日ドジャースがトーナメント制のポストシーズンを連戦連勝で勝ち上がり、ついにリーグ優勝を果たしました
両サイドから勝ち上がってきた結果、最後にぶつかった相手はミルウォーキー・ブリュワーズ
今年のレギュラーシーズンでの最高勝率チームでもあり、ドジャースは今年6戦全敗している苦手な相手
この最終シリーズは全7戦中4勝勝ち抜けなんですが、ドジャースのエース陣が神がかった活躍でまさかの3連勝
リーグ優勝に王手をかけた決勝戦でついに登場したのがピッチャー大谷でした
1回の表 ピッチャー大谷 三者連続三振
1回の裏 バッター大谷 先頭打者ホームランw
後者も続き初回で3点スタート
2回裏 第二打席は相手も慎重になりフォアボール
4回裏 第三打席 場外ホームランw
ベンチもブルペンもみんな頭を抱えて何が起こっているのかワケわからん状態
7回途中無失点10奪三振でマウンドを降りつつ、さあバットに専念だとしたその7回裏
バックスクリーン左横w
もうこの頃には相手チームも半分笑っており、野球というよりはもはや「次こいつは何をするんだろう」というワクワク感をみんなで楽しむ会に変わっていた気がしました
そのままリーグ優勝セレモニーでシーズンMVPももらい、インタビューでは「みんなで勝ち取った勝利です」、ファンや観客には「今日は美味しいお酒を飲んでください」、子供達には「野球を楽しんでもらえたら」
漫画かw
いや漫画にもならんよな
漫画でこんなの書いたら編集に「こんなご都合主義全然面白く無いよ」って言われかねん
これからの野球漫画はキャプ翼とかテニプリのようにギャグ化して、バットが3本出てくるとか20mジャンプして捕るとかしないと、普通に書いてる限り大谷の方がよっぽど漫画っぽくて面白くなっちゃうもんな
色々ありましたが昨日の試合を見て僕はこの大谷現象に思うことが多々ありました
奇跡とか前人未踏とかそんな形容じゃ追い付かない瞬間てやっぱりあるじゃないですか
今日の大谷もその1つなんだと思うし、そのドラマを日本人が築いているってのはとても感慨深かったです
というのもMLBではもう既に「大谷以前・大谷以後」って言われているし、スポーツに限らず明らかにそのカルチャーの在り方を変えた人間が何十年かに1人くらいの感覚で出てきますよね
その人と同じ時代に生きて、リアルタイムでそれを見れたことを幸せに思う人物っているじゃないですか
僕の場合だと誰なんだろう、セナとジェリーフィッシュとメッシかな
そういった"世界の英雄ラインナップ"に日本人がいるというのは本当に大きなことなんだと思うし、ましてやそれがマイナーな世界ではなく、メジャーリーグというアメリカの歴史と象徴のど真ん中で起こっている事実
今朝NYの各新聞が大谷の記事を扱いました
NYのスポーツ新聞ニューズデーは一面で「GOATANI!」という文字を飾ったのですが、驚くのは経済誌のウォールストリートジャーナルまで「もはやスポーツの枠を越えた社会現象」として大谷を扱い始めました
アメリカのメディアがGOAT(史上最高)というのは単なる称賛ではなく、時代を変えた者へのラベルでしてワシントンポストなんかは「歴史に残る人物」として社会面で語っていました
アメリカのメディアにおいて社会面で扱われるアスリートなんて各時代における各ジャンルの英雄くらいでありまして、ペレ、モハメドアリ、マイケルジョーダン、タイガーウッズ、そこに大谷翔平が並んだわけですよ
"人間がどこまで限界を突破できるのか、その答えを見せているのが彼だ"と締めていました
アメリカの象徴でもあるメジャーリーグの真ん中で「あ、僕ピッチャーもバッターもやりたいんです」というリトルリーグのような発想を持ちだし、実際それで次々に記録を更新しながらワールドチャンピオンになってしまうのは、もはや野球というスポーツを観戦しているのではなく、不可能と言われた事に挑戦し続けるSHOHEI OHTANIというグレイトジャーニーの生き様を体験しているんだなと昨日実感しました
年間を通して見てきたおかげで、スポーツが持つ純粋さにこの歳で改めて触れられた気がしました
GOATANIの限界を今後も見ていこう




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