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Get Back

もう見ました?


Disny+で独占配信の「ザ・ビートルズ Get Back」


3部作の映画と言っていいのか、7時間半の映像資料と言うべきなのか

いずれにせよ本当に素晴らしい作品であることに間違いはありません


年末にゆっくり見ようかなと思ってたんですが、先日何気に見てしまった瞬間止まらなくなり

一気に駆け抜けてしまったもんだから精神的にも体力的にもすごいエネルギーを使ったうえに

楽しい部分や苦しい部分が個人的にも交錯して色々考えさせられる作品でした


この作品の素晴らしい所を語り出したらページが8mくらいになっちゃうので割愛しますが

何より現代のテクノロジーを駆使した今まででは考えられないクオリティでの映像再現と

もう1つはビートルズに対する認識や価値観を再確認させた所にあると思います


今作は上のPVを見てもわかる通り映像と音のリマスターが凄まじく

見てるうちに「最近の映像かな?」と勘違いしてしまうくらい違和感がありません

これってビートルズをあまり知らない人が見たら間違いなく50年以上前の映像だとは思わないと思う


僕も今まで結構なビートルズ映像を見ましたが、やっぱりその粗さからどこか他人事というか

歴史的資料であったり、遠い昔のお伽話を見ているような非現実的な感じが正直あったと思います

でも今回の作品は初めてビートルズを生々しく感じました


てかこの映画の何がすごいって、アンソロジーシリーズのようなインタビューも入らず

とにかくずっと長回しの映像が続くので没入感がすごいんですよね

途中から気づかぬうちに「自分もそこにいるかのような」気になってくるんですよw


監督のピーター・ジャクソンのインタビューによると、むしろ「音声復元の方が刺激的だ」と言っており

AIにこれはギターの音、これはベースの音、これはジョンの声、これはポールの声と機械学習させ

各楽器や音声を全てモノラルで取り出してマルチトラックにできたことが大きな進歩だとのこと


この技術が進めば新しく生まれ変わる昔の映像が他のアーティストでも増えるかもしれませんね

少なくとも今回の作品は今までのリマスター系とは全く違う新しい物でした


で「内容」についてなんですが...

ぶっちゃけこの映画はほとんどが会話シーンです

ミュージシャンの映画といっても格好良い演奏やライブなんてのは一番最後だけであって

7時間くらいはひたすら模索であり、相談であり、確執であり、苦悩が続きます

そもそもがプリプロを撮影する企画なので当然そうなるのですが、でも”それがいい”のです


今までのような神格化されたビートルズでも、変に軋轢を煽る映画作品でもなく

いち人間としてのビートルズというか、普通のミュージシャンがそこにいました

てか男が4人集まって何かを作るならそこには笑いも怒りも当然あるわけで

ましてやミュージシャンが物創りをする瞬間に苦悩や確執が無いわけがなく

見れば見るほど今までの認識とはまた少し違う彼らの素の姿が見られる映像でした


とはいえ今回の作品て「見る人の立ち位置」によって見え方も随分変わるような気がします

いちファンの人が見た感想とミュージシャンやバンドマンが見た感想でも既にだいぶ違うと思うし

そのバンドマンの中でも自分がどの立ち位置なのかでもかなり変わるような気がする

エンジニアなら当時のシステムやグリン・ジョンズを見て楽しむかもしれないし

音楽関係者やスタッフならではの見方もきっとあるだろう


でも僕はどうしても無意識にポールに目がいってしまうんですよね

僕も昔からこの立ち位置なんでポールの言わんとする意味や苦悩や孤独がリアルに感じすぎて

見てるうちに自分とシンクロする物も多く何度も苦しくなり泣きそうでしたわ


仕事においても僕は頭の中にある物を具現化する為に1音符まで結構言うタイプなんですが

まあ当然のことながらこういうタイプは嫌われるんですよねw

やっつけ方を知らない面倒くさいタイプは全部を本気で考えすぎて空気が読めないので

どうしても孤立していくのは自明ですわな


そもそもこの企画自体、崩壊していくビートルズに「Get Back(原点に帰ろう)」

と言ってポールが呼びかけたんですが、ポールがそこに求めた物やそこに賭けた物も

そこで新たな何かを残そうと必死にメンバーへ伝える様も見ててすごく理解できます

でもそんなポールに嫌気が差すジョージの気持ちもすごいわかるというかそりゃそうだろうし

もっと自由でありたいジョンの気持ちもすごいわかるのが本当に見てて苦しいんですよね...


でそれに黙って付き合うリンゴね

ドラマーってホントいいやつしかいないですよね

これ水曜日のダウンタウンで検証する必要も無いくらい世界の決定事項でもういいですよね

僕今まで出会ったドラマーで性格悪い人間って1人も見た事無いです


とはいえね、考えてみてください

レコーディングスタジオではなく、何も無い撮影スタジオという劣悪な環境で始まり

そもそも破綻しているスケジュールの中、久々に顔を合わせたメンバーがセッションで曲を作り

それを3年はライブもしていないバンドが撮影スタジオに客を入れてライブをするというこの企画ですが

この時彼らは28くらいですよw


二十代の青年らが抱えていた責任や重圧がどれくらいの物なのかなんて凡人には想像もできませんが

むしろそんなストレスの中でGet BackからLet It Beまで生み出すんですから

こいつらやっぱり未来人説って検証を水ダウにお便りしたいくらいですわ


全てを見終わって色々考えさせられる事は多かったんですが

でも不思議と残っているのは彼らの笑顔だったりするのがすごく泣けてきます


今の人達はまた感覚が違うと思うんですが、僕らの若い頃はカセットMTRがようやく出始めた時代で

ProToolsなんて当然ありませんから、この世代のミュージシャンにとってはこの映画のように

顔合わせてその場であーだこーだ言いながら物を作っていくのって実はなんの違和感もないし

むしろこの”バンドノリ”自体が懐かしくてちょっとキュンとする所すらあると思うので超お勧めです


お正月の暇つぶしにでもいかがですかね

事実は小説よりも奇なりというか、ドキュメンタリーの良い部分が凝縮されていましたから

そこらの映画を見るよりよっぽど面白かったですよ

Disny+のみですが、お試し期間も確か1ヶ月くらいあるので入って見てやめたらタダですしねw


大体3周目くらいから余裕が出てくるので色々細かい発見も出てくるわけですが

僕的に一番意外だったのはやっぱり「ジョンて案外フロント」ってとこかもしれません

プリプロ中やライブの時などジョンの手元が映った時にデビルアイでよ〜く見てみるとね

結構フロントピックアップだったりするんですよね


ビートルズ警察の人らは「ジョンてその辺結構適当だから」という人も多いんですが

プリプロの段階から見ているとジョンが頻りにローの分量を気にしてた所から考えると

実は適当なんじゃなく案外意図的にリアとフロントを選んでいたような気がしないでもない

こういった発見や考察も各々に出てくると思うので更に楽しかったりします


素晴らしい作品でした♪


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