僕よく考えたら新橋で降りるの初めてかも
初めての汐留美術館
つまりギュスターヴ・モロー展ドーン!!
モローと言えばサロメシリーズですが今回のキービジュアル「出現」をはじめ色んなサロメがきてました
「お前はもう死んでいr」
扉絵のユニコーンシリーズも色々来てますし
ガラテイアもあるし
スフィンクスもあったし
ジュピターとセメレは鳥肌
こんなにまとめてモローを見れるチャンスはなかなか無いので本当に貴重でした
というのもモローは貴族出身のガチでボンボンなので絵を売らなかったんですよ
サロンに出展はするんですが終わったら全部自宅に引き上げるのでそもそも世に出回っていないのです
他の美術館でも数点見ることはありますが、そっちがイレギュラーであって9割モローが所蔵していました
なので今回もモロー美術館から借りたメジャー作品がドドンと来ているので汐留美術館に感謝感謝
ちなみにこの汐留美術館てルオーの作品を結構所蔵していまして今まで何十回もルオー展をやってるんですね
多分その関連でもともと交流が深いんでしょうね。普通はこんなに貸してくれないんじゃないかしら
もちろんルオーはモロー先生のお弟子さんでもあり、モロー亡きあとに作ったモロー美術館の初代館長ですから、汐留美術館がやるモロー展はビジネスチックではなく、親和性があって展示もすごく良かったです
汐留美術館ですから常設と言いますか、別室にルオーの作品もいくつかあるので流れで見れるのもよきよき
さてモローと言えば象徴主義ですが19世紀を締める良い時代ですよね
実は僕1900年前後のいわゆる世紀末芸術と言われる瞬間が一番好きなんです
西洋美術と言えばやっぱり一番の花形であり激動だったのは1800年代で
ブーシェらロココへのカウンターでドラクロワがゴングを鳴らして開幕
今度はそのロマン派へのアンチでクールベらがリアリズムで喧嘩を売る
そこにマネやモネが続いて印象派が登場し、ゴッホらポスト印象派、ゴーギャンらナビ派
イギリスでは先日見たラファエル前派らなど、前半戦はサロンやアカデミズムへ勝負を挑んだ物語でした
後半戦はモロー先生らの象徴主義で開幕
昨年見たルドンも、今月始まるクリムトも、ロートレックからミュシャへのアールヌーボーなど
19世紀末に向けてさらに加速して広がっていくわけです
この象徴主義の流れの中、1900年のパリ万博を越えた瞬間ついにフォービズムが登場
モロー先生の生徒さんである二大巨匠マティスとルオーが現れて
ウィーン分離派からはエゴン・シーレ、ノルウェーからは年明けに見たムンクも参戦
パリ派からはモディリアーニやシャガールが登場する中
ドイツ表現主義からはついにカンディンスキーまで合流して象徴的な物からより内面へと入っていくわけです
で、んなこと言ってる頃にはピカソやブラックがキュビズムを開始
より抽象的になっていき、シュールレアリスムになってくわけですが...
熱すぎる...
つまりですね、世紀末芸術というのはですね、ジャンプ漫画みたいなもんなんですよ
さらに強い奴がどんどん現れてくるのです
神話ばっかり書いてた時代を経て、風景ばっかり書いてた時代も経て
最後は個々の表現こそが主体となって広がっていくわけですよね
僕はなぜこの時代の動きが好きかというと、物語性にドキドキするってのもありますが
実はこれって音楽の世界にもすごく似てるからなんですね
音楽でいうと80年代って、美術でいう「印象派」みたいなもんだと僕は思っているんです
油絵の具の登場により外で絵を描けるようになったので印象派が綺麗な景色ばっか描いてた時代が
シンセサイザーの登場でキラキラして若干浮かれたサウンドばっか作ってた時代と少しかぶってしまうんですよね
ところが90年をまたいだ瞬間、あのキラキラ感が一気にダサくなり
それへのカウンターでグランジやオルタナティブが登場するわけですよね
そこにヒップホップが乗っかって、ミクスチャーも合流して、アシッドジャズやエレクトロなどディスコからフロアに移動して一気に新しい物が押し寄せてきた「あの感じ」って、1900年を境に起こった美術界の動きとなんかすごいリンクするんですよね
もちろん音楽や美術に限らずアパレルであれ食であれ、カルチャーは基本的に「手前10年への否定」で生まれ変わるので80年代、90年代、00年代と10年単位で流行り廃りがありますが、1800年代と80年代、1900年代と90年代など、もっとメタで見るとカルチャーとは100年単位で移り変わっていく物なのかもしれませんね
これら世紀末英雄伝説の入り口であるギュスターヴ・モロー展すごい良かったです
なにがいいって汐留美術館はいつも空いてる所w
新橋というオフィス街のど真ん中にあるから誰も行かないんだよな
このままひっそり誰にもバレたくない美術館の1つではありますよねw
世紀末最高!