日本の美
- gen kushizaki

- 2018年4月26日
- 読了時間: 6分
更新日:2024年8月10日
本日の美術部はここからスタート
ドン

千手観音以来のトーハク

ということは...
はい「名作誕生」ドーーーン!!!

もう最高!超絶に面白かった
正直僕は日本の名作をピックアップしたオムニバスだと思ってたので、要は「ベストヒットニッポン!」程度に思ってたんですね
ナメとった...
サブタイを見ると「名作誕生-つながる日本の美術-」とあるように日本の美術がどうつながってきたのか
そもそも日本人は何を以て「美しい」と思うのかを順をおって見ていく企画展なんですね
1章から4章までのテーマに沿って見ていくんですが、ピックアップの仕方から解説まですんごい良くて、名作を見ながら歴史がつながっていくこの感動!
第一章は「祈りをつなぐ」
日本の美術を紐解くわけですから当然宗教美術から始まります
753年、鑑真と共に渡来した仏師達が日本の木材に着目し、ここで木彫りの仏像が誕生していくわけですな(それまでは基本石)
そもそも仏像によく見るポーズに「合掌」がありますが実はあの「合掌」っていつから始まったのかなど、宗教と仏像を元に「美」の入り口を紐解きます(お経に合掌の描写は無い)
ちなみに最初はこれ

第二章「巨匠のつながり」
日本のイリュージョニスト雪舟登場です!第二章は雪舟が水墨画でつないだ日本と中国の美
四季花鳥図屏風

続いて日本のコラージュニスト俵屋宗達も登場!
扇絵師だった宗達は過去の名作の1シーンを扇に書き込み、その扇をさらに屏風に書き込むというコラージュの概念を持ち込みました
扇面散屏風

ここでみんな大好き若冲も登場!!
オリジナリティ全開の伊藤若冲ですが圧倒的な模写と模倣から生まれた到達点
仙人掌群鶏図襖

第三章「古典文学につながる」
日本の美術と言えば当然「工芸」につながるわけでして、そういった工芸品には「伊勢物語」や「源氏物語」などから名場面をモチーフに作られたそう
縫箔 紅白段短冊八橋雪持柳模様

16世紀の服とは思えない状態の良さと模様に感動
工芸も沢山あったけど他の打掛シリーズも超絶に美しい
第四章「つながるモチーフ」
ここではモチーフがどうつながってきたのか、あの名作はどの名作からつながっていたのかを紐解くんですが
はい松林図屏風ドーン!

日本水墨画の到達点
長谷川等伯 松林図屏風
等伯が目指した「静かな絵」の極地
絵のように”書くこと”で表現する芸術において「静寂を書く」って一番難しいわけです
クッキングパパのように「あったか〜い」とか直接書いちゃうわけにもいきません
まさか等伯が「静寂ぅ〜」とか書くわけにもいかないじゃないですか
ジョンケージのように「逆に書き込まな〜い」なんてズルもしません
しっかり書き込んで「静寂」を表現しきったわけです
これこそが技でありセンスですよね
筆を洗わずに堅いまま書き込んだ力強い松に対し墨の濃淡で描く朝霧の深さね
これ10分くらいジーっと見てると霧が動いているかの様な気さえするんですよ
安土桃山時代に既に3Dで解釈した絵を描いてると言われています
と同時に跡継ぎにしたかった息子を26歳で亡くした後に書いているのでそこには「無情」すら感じますね
國華編輯委員の島尾教授が千利休への弔い説も聞かせてくれました
今まで聞いたことが無かったのですごい面白かった
これは元々屏風絵ではなく「襖絵」だった説や下書き説など色々聞かせてくれましたが、でも真実は等伯にしかわかりませんのでみなさんもこの絵から色々想像してみてくださいとのこと
生まれ故郷の能登国(石川県)には今も多くの松林がありますが、明らかにかつて等伯が見ていた故郷の景色なんでしょうね。この絵は献上用や仕事で書いた物では無く個人的に書いた作品です
一生に何度も見るもんでもないですしもしお時間や興味があれば日本の美の祭典
ぜひ足を運んでみてはいかがでしょうか
いっつも言いますがこれ1600円ですよ
先日書いたラーメン屋のアホみたいなからあげ1500円でしたよ
絶対に損はしないと思うので気が向いたらぜひ。
あまりに感動した僕は「雪舟ナイト」の夜観覧券を買ったので再び人数限定の夜にゆっくり見てきますw
そんなこんなでトーハクを出てしばし休憩したあとは
そのまま西洋美術館に行き

プラド美術館展ドン

いや、まあね、一応見てきたんですよベラスケス
でも今回はタイミングが悪かったというか...
最高峰の日本美術をオンパレードで見た後に見るスペイン美術ってさ、なんかもうコテコテすぎて笑けてくるというかさ、、
「どう!?僕うまいでしょ!見て見て!」みたいな
(はいはいヨセフもイエスもわかったから)みたいな
いや、決してベラスケスが悪いんじゃないんだけどね
やっぱりスペインの黄金時代を支えたベラスケスの重みって世界三大名画と言われるだけはあるんですが、和の侘び寂びや余白という引き算の文化の後に見るとどうしてもお腹いっぱいで...
名作誕生展の後に一番行ってはいけないのに行った自分が悪いな
ので上野に行く人は絶対にハシゴはせず、1日1作品にするよう気をつけてくださいませ
次回はお弁当持参で1日に3館廻る「美術フェス」をしようかとなり気力と体力の限界にチャレンジします
美術部はもはやアスリート化しつつあります
本日のおみや

ショコラティエ・エリカのマ・ボンヌ
エリカのチョコとコーヒーを飲みながらゆっくり図録を見る至福
ーーー 追記 ーーー
行ってきました「雪舟ナイト」w

國華編輯委員、学習院大学教授の島尾新先生より大講堂で30分ほど雪舟についての講義を聴きます

もう1つ「若冲ナイト」もあったんですがそっちは速完。やっぱ若冲って人気あるんですね...
でも逆に雪舟ナイトは人が少なかった分超ゆっくり見れたからむしろラッキーw
やっぱ美術館は全部こうしたらいいのになあ
島尾教授曰く、30分では足りないので質問などありましたら後ほど会場に僕もいますのからその都度聞いてくださいと。おかげで今回は雪舟だけでなく若冲や宗達や等伯なども教授の解説を聞きながら一緒に見て回れたので最高に良かったです
今回のガイドも超いい

僕は普段音声ガイドってあまり借りないんですね
ほとんどが絵の横にあるキャプションをただ読んでるだけなので。
でも今回はちゃんと解説してくれますのでもし行く人はぜひガイドを借りてみてくださいませ
いやあ間違いなく今年1,2を争うであろう企画展でした
日本の美と歴史
もし少しでも興味がある人は絶対にお勧めしますのでぜひぜひ見に行ってみてくださいませ♪
さすがトーハク!





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