おばあちゃん

蔓延防止対策以降レコーディングがどんどん後ろにズレたので結構時間ができたこともあり

天気も良かったので先日フラッと行ってみたんですよ


砧公園


久々の世田谷美術館


現在「グランマ・モーゼス展」というのがやっているんですね

とはいえ僕グランマ・モーゼスって知らなかったんですよ

グランマ・モーゼス、要は「モーゼスおばあちゃん」ですわな


こういう人


正直僕は知らなかったんですが、グランマ・モーゼスってアメリカ人ならみんな知ってるんですって。

日本でいうとどんな感じなのかしら「美空ひばり」的な感じなんですかね

こんなフワッとしたまま世田美の学芸員さんが勧めてくれたので行ってみたんですよ

ので油断してたのもあってか、今回久々に感動したというかドデカイ1発をくらいました...


グランマ・モーゼスの絵はあくまで日常なんですね

いわゆる「素朴系」ってやつですな


春には春の


冬には冬の絵を描きます


寝室から見える景色とか


ハロウィンとかね


子供達が多く描かれていて基本全部楽しそう

以前書いた「ピーター・ドイグ」にも通ずる素朴さや楽しさがありましたが

モーゼスは初期の頃って油絵じゃなく、そもそも何を作っていたかと言いますとね


これわかりますかね


毛糸の刺繍絵なんすよ


異様に立体的ですごい素敵でしたが、歳と共に関節炎で手が不自由になってきて

針仕事が難しくなってしまったので油絵を始めたんですね


ん?歳と共に?

モーゼスおばあちゃん?


そうなんです

このグランマ・モーゼス、なんと70歳から絵を描き始めたのです!!!


ニューヨーク州北部の片田舎で農家を営むごく普通の主婦でした

5人の子供達も独立し、68歳の時にご主人も亡くなったので

後はのんびり余生を暮らしましたとさ、めでたしめでたしってのが普通の人生ですよね


モーゼスは違います

むしろこっからエンジンかけていくんすよ


1人になって暇を持て余すようになり、元々好きだった絵を描き始めたのが70代

もちろん美術教育を受けた訳でもない、ある意味アウトサイダーアートですから

ちょっと書いては近所のドラッグストアで売ってたりしたんですがもちろん売れません


そんなある日彼女の絵に感銘を受けたオットー・カリアーが自身のギャラリーで展覧会を承諾

1940年モーゼスは80歳で初の個展「一農婦が描いたもの」を開催しました

その1ヶ月後に近所の百貨店で行った展覧会が評判を呼び一躍人気者に。

これが少しずつヨーロッパへも広まっていき時の人へというのが大きな流れでして


1953年のTIME紙でも表紙を飾り


誕生日の9月7日は「グランマ・モーゼスの日」


「モーゼスおばあちゃん」というパーソナリティが後押ししたのもあるんでしょうけど

第二次世界大戦が終わった後に残る虚無感であったり冷戦真っ只中の不安感が欧米には強くあったので

モーゼスのような「いつもそこにある変わらない日常」を誰もが暗に求めてたんでしょうね

のでヨーロッパでも大きく受け入れられたそうです


モーゼスがいつも心がけたのは「追憶と希望」

素朴系の風景画ですが印象派のように外へ出て見た物を描くという風景画ではなく

心に残ったシーンを思い出しながら描く追憶の風景でして、自分の中にある美しい世界を描くのだそうな


「美しき世界」1948年


ちなみにモーゼスは1860年生まれで亡くなったのは1961年

70歳で絵を描き始めたモーゼスさん、なんと101歳まで生きてたんです!!!


1860年て...19世紀半ばてかいw

つまりね、世界大戦も大恐慌も高度成長もみ〜んな見てきたわけです

トルーマン大統領からはお茶に誘われ、アイゼンハワーからは手紙が届き

ニクソンもJ.F.Kも歴代の大統領なんてみ〜んな知ってますw

酸いも甘いも知っている者が願うように描く”日常”の説得力たるや


しかも亡くなる寸前まで、最後の最後まで絵を描いてました

101歳の誕生日の少し前、100歳の時に描いた最後の絵がこれです


「虹」1961年


希望に満ち溢れてたんですよね...

最後の最後にグランマの言う「追憶と希望」の意味が繋がってなんかすごい泣きそうになりましたわ


自分が最後に描く絵に虹を描けるような人に僕はなれるのだろうか

100歳になってもこんなにも明日が楽しみな大人になれるのだろうか

色んなことが一気に流れ込んできてすごく心に染みました


前の年、99歳のクリスマスに描いたのが「来年までさようなら」


隣にある連作「サンタクロースを待ちながら」


クリスマスをこんなにワクワクできる大人になれるのかしら

99歳でこんなにも喜びや祝福を表現できたならもはやマティスじゃん


作品ってやっぱりその人の”生き様”そのものですよね

サブタイにある「素晴らしき100年人生」の通り彼女の”人生”に触れた気がしました


グランマ・モーゼス展すごい良かったです


16年振りの開催で、今回は初来日作品も含め130点なんですって

2月27日までやってるのでもし良ければぜひ♪


2Fでは「ART/MUSIC」というコレクション展もやっていまして、世田美が所蔵する作品の中で

音楽に関連する作品で構成された展示もしており、横尾忠則の聖シャンバラシリーズから

バスキアやラウシェンバーグや草間彌生など色々あって楽しかったですよ


もちろん僕らのルソーもいます!


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