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11才

  • 執筆者の写真: gen kushizaki
    gen kushizaki
  • 2020年2月17日
  • 読了時間: 10分

更新日:3月15日


波瀾万丈な3ヶ月でしたが無事終わりましたスフィア全曲ライブ

一夜明けようやく腕も上がるようになり耳も聞こえてきましたw


3ヶ月考えてきたことをハサミで切ったように無くすことはできないので、また数日かけてゆっくり心と体を元に戻していくタームに入るわけなんですが、せっかくなのでまだ頭の中に渦巻いてる今回の色々を思い出しながら整理してこうかな


ちなみに言葉でアウトプットするのって頭のリセットにはすごく重要で、ライブなり映画なり何かを見た後に、友達とあーだこーだ話したりすることが、実は自分の中で消化する為にはとてもクリティカルなのでいっぱい話してくださいね


第一章「意味のありか」


さて今回音楽的に難しかったことを考えてみるとやっぱり「ショート」の在り方でして、あくまで個人的にはですが、僕は音楽を端折るのって本当はすごく嫌なんですね


というのも僕は本来制作側の人間なので「0から1」を作るタイプの脳みそでして、ライブのように「1を10」にする表現行為とは逆の思考がどうしても半分あるからです

要は音にせよ言葉にせよ、作ってる段階で全部に意味を持たせてるわけですから「いやいや、そこ切っちゃったらその曲の意味無いじゃん」て思ってしまう方なのでサイズ感を受け入れるまでに少し時間がかかりました


もちろんただ単に時間を短くしたいだけなんて誰も思ってないんですが、こっちがそう思ってなくても相手にそう聞こえたら結局同じことなので、今回は「それらをどう使うか」が全てだと思うんですよね


つまるところ各々に役割であったり意味を持たせるしかないわけなので、1日をA,B,C,Dという4つのブロックに分けて考え、そのブロックの中でおこる物語としてフルサイズとショートサイズのバランスを演出と何度も投げ合いました


盛り上がる曲に向かってドライブさせる為にショートを連続で挟んだり、逆にアップテンポな曲から場面を変えるための緩急として使ったり、時にはテーマやカテゴリーの共通性を合わせたりと1つ1つの役割を明確にしつつ各ブロックを「組曲」じゃないですが「1曲30分の物語」という解釈で捉えました


いずれ映像化した際、もし興味あればセトリと楽曲を両日照らし合わせながら見てみてください

実は各曲を数値化して全体の熱量やバランスまで結構緻密に作ってあるんです

たまにはそういう聞き方も面白いので良ければぜひ


なんとなくの全体像が出来上がった頃、CD音源を切り貼りして全体のイメージデモを作ったんですが、1発目のお披露目会の段階で本人やスタッフにも案外好評で「じゃあこうしたい!ああしたい!」など更にアイデアを投げ合えるようにもなりました


これは僕の持論かもしれませんが、結局こういう時に一番大事になってくるのって意思の疎通というか「同じイメージを持てているか」が全てだと僕は思っているので、この時初めて全員で同じ景色をイメージできてるなと確信しました



第二章「心のやり場」


土台が出来上がったのでいよいよバンドにも相談をしはじめます

「えー今回は全曲やりたいのでみなさん死んでください」とw

バンドにもイメージデモを聞いてもらい「こういうことをやりたいんです」と

「えーーーーーーー」とw


大変なのはわかってるんですが、いうてもその頃はまだ頭のどこかで「まあ頑張りゃできるっしょ」くらいに僕もバンドも思ってたんですね。1ヶ月程色々相談しながら準備してたんですが実際リハに入るまで正直そう思ってました。なぜならこの時はまだ「体力の問題」だと思っていたからです


いざバンドリハの初日


もう全然合わないw


いうても相手全員プロですよ

なんなら10年近く一緒にやってるわけですよね

でもバンドリハの初日、丸一日かけてやったのに全然曲を当たれませんでした


というのも


音楽を「半分だけ演奏する」って行為に頭が慣れてないのもあるんですが、まあそんな物は何回か演奏して体に入れれば解決するんですけど、一番ネックなのはそれらが「交互に連続してくる」という状態なんですね


これって楽器を演奏しない人には伝わりづらいかもしれないんですが、イントロ始まりますよね。

Aメロで構えますよね。Bメロでノってきますよね。でサビでドーンとピークに持って行きますよね。

でようやくその曲に入れたと思った頃、もうその曲終わるんですねw


今度はアウトロでギューーーっとテンションにブレーキをかけるんですが、みんなはなまじ曲を知ってる分、気持ちというか手グセというか、頭と体がリンクしないので「次の曲」にどうしても入れないんですねw


これどういう状態かと言うと、車に乗ってアクセルベタ踏みしますよね

で100m走ったら急ブレーキをかけて、止まる寸前にまたアクセルをベタ踏み

これを永遠にやってるようなもんなんですわ


「テンポ酔い」と言いますか「気持ち酔い」と言えばいいのかわかりませんが、気持ち的にはずっとジェットコースターに乗ってる様な状態に近いかもしれません

頭の中がグニャグニャしてホント”酔いそう”になるんですわ


ポピュラーミュージックの構成が何十年も変わらないのはやっぱり意味があって、イントロというプロローグがあり、物語のピークがあり、アウトロというエピローグがあり、この段階を踏むのが実は精神的な理にかなってるんだとバッサリ切って初めてわかるというねw



第三章「パズル」


もちろん問題は「心のやり場」だけの話しではなく他にも影響してくる事が多々あるんですね


・テンションのつながり


1コーラスと言っても単純に1番だけ演奏してたらいいわけではありません

上にも書いたとおり楽曲にはその曲中でのテンションや”役割”があるからです


見える化する為に”気持ち”を数字にしてみましょうか

楽曲の中でのピークって結局はラスサビ後半とかですよね

なのでそこを100とした場合、2サビが90で1サビは80くらいですか

じゃあイントロとアウトロが60くらいですよね

とすると1B2Bが50くらいでしょ

ってことは2Aが40で1Aは30くらいになってきますよね


もちろんあくまでザックリした「気持ちの重量」としてですが、楽曲には現に30〜100くらいの振り幅があって、実際の音数的にも案外比例してますよね


つまり単純に1番ばかりを再生してると1コーラスの曲が全部弱い印象になってきますし、逆に1A1Bとラスサビを無理にくっつけてもテンションが繋がらないわけです

中には1Aでストンと落ちる感じが大事な曲もあるから仮に1コーラスといえど、どこをどう使えばその曲の”良さ”を凝縮できるかは最初に精査しないといけないんですね

ので聞いてて気づくレベルじゃないかと思いますが、実は今回構成も色々組み替えてます



・物理的なつながり


ライブをやってると曲と曲の間ってあるじゃないですか

その曲間でギターはサオを変えたり、キーボードはプログラムを変えたり、要は「次の曲への準備」がなされるわけですよね


ドラムは全てが人力なので基本大丈夫

ベースもまあ足下くらいなのでリズム隊は案外影響は無いのですが、上物チームはその曲に応じた「音色」という物が存在しますよね


単にピアノと言っても全てを「Preset01 Grand Piano」で弾いているわけではなく、ピアノであれエレピであれストリングスであれ、全てはその曲用に音作りをしてますよね

当然ギターも全てをストラト1本で弾いてるわけじゃなし、サオも足下も色々ですよね


でも今回はそんなことしてる時間が無いんですw

次から次へと来るからw


ので例えば平井君とは「こっからここまではレスポールでいけそうだね」とか

「この曲は最後ピアノだからその間にこれに変えちゃおうか」など

まずは「なにで弾くか」を決めるんですが、問題はそこからです


「どうしてもあの曲のあの部分はテレキャスじゃないと出ない!」など、その曲を印象付けるような大事な物にフォーカスしてそこから逆算します


とはいえサオが変われば音も変わるのに今まで通り弾いてたら違和感だけが残るので、10年バッキングで弾いてきた曲をサオに合わせてアルペジオに変えた曲もあるし、僕のシーケンスとにらめっこしながら「ここはこれ弾こうか」とか「むしろこのリフのまま最後までいこうか」など実はプレイ自体も色々変わってます



第四章「ハンドメイド」


音楽作りに関して色々語ってきましたが、上に書いたとおり今回のバンドリハは何度も繰り返してサイズ感を体に入れ、まずは「テンポ酔い」を解消する

次に「ブロックで1曲」ということは曲間もアレンジ解釈なので決め打ちで作ります

実は丸1日かけて全ての曲間だけひたすら練習してた日もありました


リット感が少しズレただけで気持ち良く繋がらなかったり、打ちっぱなしのデュレーションが長すぎて気持ち悪かったり、全員がジャストでピタッと切り替われるように調整したり、こういった人力でやる部分こそがライブ感を産んでいくので死ぬ程やりました


当然ですが今までの譜面の1枚目と3枚目だけ見ればいいという話しではなく、構成が色々変わっているのでリハーサルマーク自体が使えないため今回の「ブロックで1曲」という特殊譜面を新たに作り直してもらいました


あ、紙物で言うとセットリスト。

ミュージシャンの足下には本来セトリの紙が置いてありますよね

でもA4の紙に42曲分書いたらどうなると思います?

小さすぎて何書いてるか全くわからないんですねw


外さんなんかはハイハットの前に貼ってた自作のセトリがどんどん長くなっていって最後はトイレットペーパーみたいになってまして

「あの、これ、なんですか?」

「セトリです」

「えっと、これ、本番は使いませんよね?」

「使います」

「やめましょう」

「はい シュッ」


なのでセトリもブロックごとに4枚作って、そこからはもう各々手書きです

でこういうのってまた性格が出るので情報を横に書く者縦に書く者、ザックリ書く者すごい書き込む者、ハンドメイドって面白いもんですねw


弁当が塩辛過ぎて籠島さんが鼻血を出したりと波瀾万丈でしたが僕的には実はこのゼロから作るバンドリハが一番面白かったりします


次回からバンドリハ見学チケット売ろうかな

ドリンク付きで今なら5000円!(スタジオのコーヒー)

なかなか笑えると思いますよw


で昨日本人達も触れてくれましたが、今回のオープニングは渡辺さんにお願いしました

「一緒に祝ってもらえませんか」って聞いたら二つ返事で受けてくれまして、渡辺さんからの小さな花束も届いたことで最後のピースも埋まりました


余談ですが早口言葉の演奏もスフィアバンドですw

最終のバンドリハの際にせーので録りました


音楽チームから彼女らへのプレゼントはこれにてコンプリートです


最終章「11才」


今回の2日間て長いこと準備してた割りに、いざ始まってしまうとあっちゅーまでした

同じく11年もやっぱりあっと言う間でした

僕は記念日を数えてるタイプでもないので普段はそんなこと考えもしませんし、クリエーターって恐らくみんなその時にするべきこと、できることしか考えてないと思うので、こういうのはある日誰かに言われて改めて気づくもんなのかもしれませんね


まあ良くも悪くもデビュー前から見てると半分身内みたいになってしまいますが、昨日は途中から不思議とすごく客観的に見てました

というのもトロッコで後ろまで来た時に、僕の前にいたお客さんが上手く言えないんですが、本当に嬉しそうな顔して見てたんですねw

いやもう曇り無き眼というか、疑う余地のない本当に嬉しそうな顔してるんですよ


僕が誰かをこんな顔にできることは永遠に無いので「ああ、この人達ってやっぱすごいんだなあ」

ってはじめて客観的に見えたんですよね


昨日僕のTwitterに「この景色の一部になれて本当に嬉しいです」とくれた人がいたんですが、多分それは本人らが一番思ってるんじゃないかと思いました。この景色にしてくれてるのは結局ファンの方々ですもんね


これからも愛情に包まれていてほしいです


とにかく84曲全曲完走

この無謀な挑戦の中、病気や事故も無く終われた事にただただ感謝

皆々様、本当にお疲れ様でした♪

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