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ごめんなさい

またしばらくバタバタしそうなので先に行ってきたんですよ


コートールド美術館展



コートールド美術館はロンドンにある印象派の専門的な美術館なんですが...

正直に言いますと、僕印象派ってそんなに好きじゃなかったんですよ

もちろん名作も多いので好きな作品も沢山ありますが、基本フワッとしてるというか...

良い時代だったからこその浮かれ感と言うんでしょうかね

単に「へえ〜綺麗だね〜」で終わる人も結構いると思うんですよ


美術史における印象派って音楽史でいう80年代と僕的にはすごく重なっていまして

好景気の真っ只中、デジタルシンセサイザーが登場してからというもの

世界中でキラキラウェーイの浮かれた音楽が溢れかえりましたよね

19世紀のパリも産業革命で一気に好景気となる中、チューブ絵の具の登場と共に

アトリエを飛び出し外で書くようになったもんで、全員が光と影の風景画ばっか書いてたわけですな


美術においての歴史的な転換期なのでとても意味や価値のある時代なのはわかっているんですが

どうしても模索感があるというか、全体的にもフワッとした印象だったんですよね

じゃあなぜわざわざ印象派の企画展に行ったのかというと今回の扉絵にもなってるこれ


「フォリー=ベルジェールのバー」


マネ晩年の名作すよね

僕コートールド美術館に行ったことが無いのでこれを見た事が無くて

せっかく来てるんだからこれだけ見ておきたいと思って行ったんですよ


華咲くパリの好景気真っ只中、誰もがお洒落に身を包み酒を飲んでる時代に

このウエイトレスのつまんなそーな顔ねww

バブルに浮かれる者達を冷めた目で見るこの表情にパリの倦怠が表れてるというか

廻りの華やかさが心の空っぽさを加速させてるのがすごくかっこいいですよね

まさに”本当”を切り取っちゃうマネの集大成というかね


そうそう、本当を切り取るマネの名作と言えば当然「草上の昼食」じゃないですか


これね


貴族が娼婦と遊んでるシーンを書いちゃったもんで大問題になった作品ですよね

みんなが神話だなんだを書いてる時にクールベやマネが”本当のこと”を書くもんで

大バッシングを受けてしまい、ここからアカデミズムとの戦いが始まりますw

美術が「ジャーナリズム」の役割を担い始めたわけですな

本来はジェリコーの段階でジャーナリズムは始まっていますが生々しさはこっちですよねw

この「草上の昼食」は僕も昔パリで見たんですが今回はなんとこれの習作が来てました


これ


習作ってのは構図や色味の確認用に書く下絵みたいなもんですが

こんなのがコートールドにあるって全然知らなかったから見た時ビビりましたわ

っていうか後で言いますがコートールド美術館てすごいマニアックというか

面白いのをいっぱい持ってて、今回の展示の仕方もすごい良かったんですよね


今回「画家の言葉から読み解く」「時代背景から読み解く」「素材・技法から読み解く」

という3章構成になってて、各場所で「収蔵家の眼」と題して絵のポイントや見方を

大きなパネルで表示してあるのもすごい面白い出し方だなって思いました


こういう感じ


特にセザンヌやモネやルノワールやゴーギャンなどは数多くピックアップされてて

その辺はさすが印象派専門て感じなんですが、これまた良いのを持ってるんですよね


セザンヌの緊張感とか


モネの分割筆致ってやっぱ綺麗なんだなとか


ルノワールの女好き感も最高


もちろんゴーギャンも


モディリアーニも


ルソーも


ドガも最高

ドガはパステルなイメージが強いかもしれませんが油彩も超最高

このステージ袖から見る構図は劇場会員でもあったドガならではですよね


スーラの点描画もほんと綺麗


ロートレックの娼婦なんかもう最高よねw

キリが無いのでやめますがゴッホもピサロもシスレーもボナールも

みんなまた美味しいのが揃ってて超楽しい


で「未完成コーナー」ってのもありましてですね


ドーミエの「ドン・キホーテ」とか


ドガの「傘を差す女性」とかもすげえ良かった


描きかけの絵って僕らにしたらデモテープみたいなもんなわけで

その過程を見るって本来は絶対無いので若干ドキドキしますよね


さて今回は長々と書いちゃいましたが、それくらい良かったのと同時に

今まで斜めに見てた印象派の人に「ほんますんませんでした」と言いたかったんです


いやあやっぱしね、みんなよーく見たらすげえ良いんすよw

今回嫌みじゃなく素直に素敵だなって思ったんですよね


絵の具のおかげで外に出れたから光と影のグラデーションを書きたいのもわかるし

色の重なりや深みに拘るのもそらそうだわなって思った

外で書く限り時間が無いので「写実なんかやってられっかよ」のも当然だし

写真の登場によって切り取っただけの写実にそもそも意味を持たなくなった分

絵独自の構図やバランスや技法を追求したのもやっぱ素晴らしいなって思ったんですよ


80年の例で言うと、先日のバスキアなんかは「イエーイブルーハーツかっけ〜!」って感じなんですが

今回のコートールド展は「あ、山下達郎ってやっぱすげえな」って感じですかね


バカ騒ぎしてた時代であれ、本物は時代関係無いという良い例でしたわ

いやあ今回は何気に行ったんですがすごい良かった


印象派wって思ってた人も暇つぶしにどうですかね

もしかしたら色々見え方も変わるかもですよ


今回の図録もすんごい丁寧で素晴らしい


てかもうすぐ始まりますね


これからはもう素直に見ますw

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